2013年06月27日

最近読んだ本



【あらすじ】
眉目秀麗、文武両道。
誰にでも好かれる優しさを持ち、その才覚で
「ジェントルマン」の名を欲しいままにしている青年、坂井漱太郎。
高校時代から、そんな彼の姿をどこか冷ややかに見つめてた同級生の夢生。

しかし、ある嵐の日、教室に忘れ物を取りに帰った夢生は、
漱太郎の美しくも残酷な本性を目撃することになる。
それは、紳士の姿に隠された、恐ろしき犯罪者の貌だった――。

完璧な男の裏にある、道徳の汚れ。
その背徳にすっかり魅せられてしまった夢生は、
以来、漱太郎が犯す秘められた罪を知るただひとりの存在として、彼を愛し守り抜くと誓うのだが……。

 ままならない恋の究極、生と性の残酷さを描ききる、
驚愕のピカレスク長篇小説。





・・・・というのが公式のあらすじなのですが。



このあらすじがしっくりこない。



この作品の表紙をめくらせる為に並べられたこのあらすじの宣伝文句達が
読めば読むほどしっくりこない。
期待はずれな落胆ではなく、まったく受け止め方が異なった読後感に驚いた。

このあらすじを見てなんとなく避けていた今日までの時間を少しもったいなく感じた。
もっと早く読めば良かった。



高校時代、夢生は冷ややかに見つめていただろうか。
夢生が瀬太郎に傾けた想いや行為は恋の究極なのだろうか。
生と性の惨酷さを描いての物語だろうか。
ピカレスク小説といいきるのか?


どれもしっくりこない。



正直まったくオススメはしません。

瀬太郎は非道の限りを尽くし、非道徳であり
動物虐待の語りもある。
嫌悪感しか生まれない人もいると思う。
性描写が苦手な人にもオススメできない。



でも山田詠美さんはやっぱり日本語の並びが変わらず綺麗でとても読みやすい、
かつ、読み手にときめきを残す技を心得ていると想う。

概要だけが先走りしようとも
読めば安易に下世話と笑わせない純文学たる気持ちよさがそこにはあって
ラストまで読み進めることが出来る。
伏線の小道具がラストで使われるのがすごく自然だし印象的。

綺麗な日本語だからふいの言葉に胸の奥まで切なさが届いて溢れる。



ラストは昭和初期のとある事件を当然思い起こす訳で。
冒頭でかのアーティストのイメージを持ってきた比較的軽やかな導入が
ラストでじんわりと効いて生臭さが軽減している。
驚愕とは言い切れない、ある意味ベタといえばベタなラスト。
これでいいと想う人とこれでいいのかと思う人に分かれるだろう。


この世界で夢生だけに与えられた選択だと想うし
なにかが叶えられた納得もそこにはあって。


瀬太郎、夢生に出逢えてよかったね
ってやっぱり思った。


読んで尚、
時間が経過すればするほどに
ラストそのものよりも登場人物全員のここに至るまでの
もどかしさやそこに横たわる個々の願いや祈りについてすごく考え込んでしまった。


そして

この物語はフィクションです
と、想うことが一番私を救った。




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posted by . at 01:47| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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